海外から犬猫などのペットを日本に連れて帰るための輸入検疫手続きについて|後編

2022年12月末に愛猫大五郎くんを連れて、カンボジアから日本へ帰ってきました。

海外から猫を連れて入国する際に必要な輸入検疫の手続きについて、実際に行った手順に沿ってなるべく細かくレポートいたしますので、ぜひ参考にしてください。

猫 飛行機 搭乗待ち

今回の記事は後編として、日本の動物検疫所に事前届出を提出してから日本に入国するまでの手順⑥〜⑧について詳しくご説明します。

【指定国以外からのペット輸入検疫手続きの流れ】

  1. マイクロチップの埋め込み
  2. 狂犬病予防接種(1回目)
  3. 狂犬病予防接種(2回目)
  4. 狂犬病抗体検査(血清検査)
  5. 輸入前待機(抗体検査の採血日より180日間以上)
  6. 事前届出(到着予定日の40日前までに)
  7. 輸出前検査と輸出国証明書の取得
  8. 輸入検査(日本到着後)

手順①〜⑤については、前編の記事をご覧ください。

海外から犬猫などのペットを日本に連れて帰るための輸入検疫手続きについて|前編

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輸入前待機のあとは、いよいよ日本に帰国するための最終準備を行います。

ここからは航空券を手配したり、日本の動物検疫所に届出を出したり、輸出国政府機関での裏書き証明を取得するなど、日本に入国する際に必要な重要書類を揃えるステップです。

書類取得の方法は輸出国によって状況が異なるため、動物病院や動物検疫に詳しい方に相談するなどをして早めに情報収集しておくといいですよ!

今回は一例として、カンボジアで書類を揃えて日本に帰るまでのアレコレをレポートいたします。

ステップ6|事前届出

日本に到着する40日前までに、到着予定の空海港を管轄している動物検疫所に狂犬病予防法に基づく動物の輸入に関する届出書という書類をFAXまたはメール添付で提出します。

大五郎

NACCS(動物検疫関連業務)を利用して電子申請することも可能です!

事前届出の内容

事前届出書には届出者の住所氏名電話番号やペットの品種と名前、マイクロチップ番号、狂犬病ワクチンの接種記録、狂犬病抗体検査の検査施設名と結果、出国予定地および帰国日時や便名などの細かい情報を記載します。

ただし、正確な到着日と便名が決まっていなくても事前届出を出すことは可能です。

大五郎

到着予定日未定として提出し、便名が決まり次第変更届出書を使用して変更届出を行うことができます!

逆に言うと、日本入国まで40日を切った届出は原則受理してもらえませんので、フライト未定の状態でもペットを連れて日本へ帰ることがおおよそ決まっている場合は、先に事前届出を提出しておいた方がいいと思います。

事前届出書に記載したすべての内容は、日本入国の際に受ける輸入検査でのチェック項目となりますので、絶対に間違いがないようにダブルチェックをしながら記入しましょう。

書き方に不安がある時は、提出前に管轄の動物輸入検疫所に電話やメールで相談してみてください。

わたしは中部国際空港を管轄している中部空港支所に連絡をしましたが、とても親切に対応してくれましたよ!

管轄の動物検疫所は、到着予定空海港によって異なりますので、予め確認しておきましょう!

届出受理書について

提出した事前届出書の内容に問題がなければ、動物の輸入に関する届出受理書という書類が動物検疫所より交付されます。

届出受理書は、輸出国証明書取得の際や航空会社のチェックイン手続き時に提示を求められますので、大切に保管しておきましょう!

届出受理書

ペットを連れて飛行機に乗る際の、航空券手配の仕方

ペットを飛行機に乗せることができる航空会社は何社もありますが、航空会社や渡航地域によってルールが異なります。

例えば同じフライトに乗せることができるペットの頭数には制限があったり、受託手荷物としてのみ輸送が可能だったり、乗り継ぎ地によっては検疫が必要な場合もありますので、予め確認してから予約を取るようにしましょう。

大五郎にとって初めての飛行機だったので、なるべく負担が少ないようにとペットを機内に持ち込むことができる航空会社に絞って探した結果、今回は乗り継ぎ時間も短かった大韓航空に決めました。

大韓航空では次のような手順で航空券を手配しました。

  1. 希望するフライトの空席状況を公式サイトで確認し、便名や時間、乗り継ぎ空港などをメモする
  2. 航空会社に電話をかけて、希望する便にペットを乗せることができるかどうかペットの空席状況を確認する
  3. 希望するフライトをWEBサイトで予約する
  4. 再度航空会社に電話をかけて、フライトの予約番号を伝えた上でペットの搭乗予約を行う
  5. 数日後、ペットの搭乗予約確約のメールが届く

猫 航空券 確約メール

ざっくりこのような流れとなり、搭乗者のフライトが決まった後でないとペットの搭乗予約はできません。

2度手間にはなりますが、WEBサイトではペットの空席状況は確認できないため、希望のフライトが決まったら、必ず電話でペットが乗れる便かどうかを確認した上で、航空券を予約するようにしましょう。

機体の種類によってペット搭乗不可の便があったり、共同運航便によっては異なるルールや制限があることもありますので、必ず事前に確認が必要です。

わたしも当初ペットが搭乗可能なベトナム航空で帰国することを考えていたのですが、シェムリアップ〜ホーチミン〜名古屋で予約をすると、シェムリアップ〜ホーチミンはアンコールエアという航空会社を使うためペットを乗せることができないと判明しました。

また、韓国経由の場合は特にチェックはありませんでしたが、乗り継ぎ空港によっては検疫がある国もあるので必ずご確認ください。(私が調べたところによるとシンガポールは乗り継ぎの際も輸入許可証が必要です)

大五郎
乗り継ぎ便を使う方は、特に注意しましょう!

ペットを乗せる際のケージのルール

ペットの搭乗予約をする際には、ペットの種類、年齢や体重、ケージの大きさなどについて確認がありますので、予めケージを準備した上で問い合わせると戸惑わずにスムーズです。

大韓航空の場合はペットを飛行機に乗せる際の重量やケージの大きさについて下記のようなルールがあります。

ペットとケージの合計重量 ケージのサイズ
機内持ち込み 7kg以下 縦32cm×横45cm×高さ19cm(ソフトケージの場合は高さ25cm)
ケージは座席の下にしっかり収納できるものに限る
預け手荷物(受託ペット) 45kg以下 ケージの幅、長さ、高さの合計が291cm未満(高さが最大84cm)
金属、木材、プラスチックなどの頑丈な素材で作られたもの

【ペットケージの条件】参照:IATA Traveler’s Pet Corner

  • ペットが立ったり、横になったり、動き回ったりするための十分なスペースが確保されていること
  • ネジでしっかり固定され、衝撃を受けてもロックが解除されないこと
  • 適切な通気性と耐水性を備えていること

ペットケージを購入する際は、IATAの安全基準をクリアしているかどうかも確認しておくと安心ですね。

高さ25cm以内のソフトケージを探すのはなかなか至難の技ですが、Amazonで探すと良さそうなものがいくつか出てきますよ!

詳しくは各航空会社のHPにあるペットを連れた旅行に関するルールをご覧ください。

大韓航空HP→大韓航空のペット搭乗ルール

ステップ7|輸出前検査と輸出国証明書の取得

日本の動物検疫所に事前届出を提出し、航空券の手配ができたら、次は出国のために必要な書類の準備をします。

ここからが少し大変で、今まで診てもらっていた動物病院ではペットの輸出に関する書類の手配をやっておらず、シェムリアップではAngkor Vet Clinicという病院でのみ取得可能ということでした。

Angkor Vet カンボジア シェムリアップ

こちらの動物病院は初めての受診でしたが、ペット輸出に詳しい経験が豊富な獣医師がいるので安心です。

書類の取得や日程に関することなども親身になって相談にのってくれました。(コンサル料5ドル)

輸出前検査とは

輸出前検査とは、出国直前(出国前10日以内)に民間獣医師または輸出国政府機関の獣医師によって臨床検査を受けることで、下記の項目についてチェックを受けます。

  • 犬:狂犬病やレプトスピラ症にかかっている疑いがないこと
  • 猫:狂犬病にかかっている疑いがないこと

輸出国証明書とは

輸入国証明とは輸出国政府機関が発行する証明書のことで、FormACを使用することが推奨されています。

輸出国証明書に記載する必要事項
  • 犬猫の生年月日・年齢
  • マイクロチップ番号と埋め込み日
  • 狂犬病予防接種の接種日と種類・有効免疫期間
  • 狂犬病抗体検査の採血日と検査施設名及び抗体価
  • 輸出前検査の検査年月日と所見
  • 輸出国政府機関の裏書き証明

上記の内容ついて民間獣医師が必要事項を記載し、輸出国政府機関の裏書き証明を取得しなければなりません。

From-AC 輸出国の裏書き証明書

輸出国政府機関とは?

輸出国の動物検疫を管轄している政府機関のことで、日本では動物検疫所に相当する機関のこと

裏書き証明とは?

輸出国政府機関による証明書の承認を意味し、輸出国政府機関の獣医官の直筆署名、公印、所属機関名、証明日が必要

カンボジア出国時に必要な書類

輸出書類の作成をしてくれた動物病院では、日本出国時に必要な輸出前検査と輸出国証明に加えて、カンボジアを出国する際に必要な衛生証明書の作成や駆虫薬の投与も同時に行なってくれました。

  • 健康状態が良好であると示した衛生証明書:VETERINARY CERTIFICATE
  • 寄生虫やノミの駆虫証明書:ANTIPARASITIC CERTIFICATE

カンボジア 猫 出国書類

かかった料金は輸出前検査と駆虫薬の投与、書類の作成費用を合わせて合計90ドルでした。

カンボジアの輸出国政府機関は首都プノンペンにあるため、シェムリアップの動物病院から書類を送付して裏書き証明を受け取るまでに1週間以上の時間がかかりました。

政府機関とのやりとりは全て動物病院の獣医師が手配してくれましたが、すべての書類が手元に届いたのが出発前日というギリギリのタイミングで本当にヒヤヒヤしたのも、今ではカンボジアらしく懐かしい思い出です。

もし1日でも遅かったら飛行機に乗れなかったなんて考えると恐ろしいですが、ここまですべてがうまくいっていると信じて、出発を待ちました。

ステップ8|輸入検査

今回お世話になった大韓航空では、ペット同伴の場合は出発の3時間前までに空港に到着するようにとの案内がありました。

大韓航空 ペット 帰国

ペットを連れた旅行のチェックイン手続きと輸送料金

ペットを連れて飛行機に乗る際は、ペットのチェックイン手続きや書類の確認などで普段よりも時間がかかりますので、余裕を持って早めに空港に到着するようにしましょう!

また、ペットの輸送料金は手荷物の有無にかかわらず別途必要です。

大韓航空の場合、猫1匹の輸送料金はプノンペン国際空港から中部国際空港まで乗り継ぎ便を合わせて合計225ドルで、当日チェックインカウンターで支払いました。

チェックイン時に提示した書類

衛生証明書と駆虫証明書は、日本入国時には特に必要ありませんが、カンボジアを出国する際に必要な書類です。

ペットケージの大きさやペットの体重などは事前に申請していたので、当日は特にチェックされることはありませんでした。

機内での様子

チェックインが終わったら、次は出国手続きと保安検査です。

出国手続きではペットのチェックはありませんでしたが、保安検査場では猫を一度ケージから出して、ペットケージは手荷物検査を受け、わたしは猫を抱えた状態でボディチェックを受けました。

脱走しないように念のためリードをつけていましたが、大五郎はわたしの肩にがっちりしがみ付いていい子にしていてくれました。

ここまではかなり順調で、深夜0時すぎの便だったので、わたしも大五郎も待ち時間が長く疲労困憊でしたが、鳴いたり騒いだりすることもなく無事に飛行機に乗ることができました。

しかーーし、飛行機が動き出したらわぉーーんと雄叫びが鳴り止まず、ケージから出たがるような仕草で頭突きをしてきました。

猫 機内 頭突き

初めて乗る飛行機に緊張したのと、ゴーーという音の大きさにびっくりしたのだと思います。

ペットケージは足元に置くのが基本ルールですが、機内はあまり混雑していなかったので、周囲の状況を見ながら膝の上にのせてあげるなど少しでも安心できるように対応しました。

飛行機 ペットケージ 足元

大五郎や周囲のことが気になってほとんど寝られず、仁川空港までの5時間がものすごく長く感じました。

飛行機の音が結構大きかったので、猫の声はそこまで気にならなかったかもしれませんが、もし同じ便の方でご迷惑をおかけしていたら本当にごめんなさい。

乗り継ぎ後の仁川から名古屋までのフライトは、飛行機にも慣れたのかほとんど鳴かずに、うたた寝をするくらいには落ち着いていました。

輸入検査(到着時検査)の内容と検査に係留時間

日本到着後は税関の前にペットを連れて動物検疫カウンターで到着時検査を受けます。

中部国際空港の場合、動物検疫カウンターは1番の手荷物受取ターンテーブル付近にありました。

到着時検査では狂犬病抗体検査証明書の原本と輸出国証明書(Form AC)を提出し、獣医師による健康チェックを受けるほか、下記の項目について確認があります。

  • 犬・猫などの健康状態に異常がないこと(狂犬病やレストスピラ症)
  • マイクロチップ番号が証明書と一致していること
  • 輸出国証明書に輸出国政府機関の裏書き証明があること
  • 記載内容が日本の輸入条件を満たしていること

書類の内容や健康状態などに問題がなければ、狂犬病予防法に基づく動物の輸入検疫証明書が発行されます。

輸入検疫証明書は再びペットを連れて海外に行く際に必要な書類ですので、大切に保管しておきましょう!

輸入検疫証明書

検査にかかる係留期間は12時間以内(通常は数時間)ということで、実際どのくらいの時間がかかるのかわからずに心配しましたが、担当の方が迅速に対応してくださり15分ほどで終わりました。

ちなみに日本での輸入検査には費用はかかりませんでした。

無事に輸入検疫証明書を取得したら、税関で再度チェックを受け、日本への輸入手続きは全て終了です

大五郎 日本到着

非常に疲れましたが、無事に入国できてよかったです。

大五郎もよく頑張った!本当に本当にお疲れ様でした。

猫を日本に輸入する時にかかった費用の総額

  • マイクロチップ装着 20ドル
  • 狂犬病予防ワクチン1回目 8ドル
  • 狂犬病予防ワクチン2回目 8ドル
  • 狂犬病抗体検査の採血 20ドル
  • 狂犬病抗体価検査 13000円
  • クール宅急便 1200円
  • 狂犬病予防ワクチン3回目 8ドル
  • 輸出前検査と輸出国証明書の相談と作成 95ドル
  • 航空会社の輸送費用(カンボジア〜日本) 225ドル

合計 384ドル+14200円

大五郎
2022年後半の平均レート1ドル140円で換算すると、猫の輸入にかかった総額は約7万円でした!

シェムリアップの動物病院は良心的な価格で処置をしてくれたのと、狂犬病の抗体価検査に必要な血液検体をタイミングよく日本に帰国した友人が日本まで輸送を手伝ってくれたこと、また日本に輸入の手続きは代行業者を通さずに自分自身で行ったので、かなり安い方だと思います。

猫を飛行機に乗せる際に使用したペット用キャリー

カンボジアに住んでいる時は友人に譲り受けたハードタイプのケージを利用していましたが、今回ペットを機内に持ち込むということで、大韓航空のペット持ち込みルールに従って、機内持ち込みサイズのソフトキャリーを新調しました。

猫 ソフトキャリー 機内持ち込み

わたしが使っているペットケージが在庫切れということなので、類似商品のリンクを貼っておきます。

ペットケージにはお気に入りのタオルやおもちゃを入れてあげるなど、なるべくリラックスできる環境を整えておくといいですよ。

保安検査場での手荷物検査の際は、ペットをケージから一度出して抱える形で検査を受けなければならないので、万が一の脱走に備えてリードやハーネスをつけておくと安心です。

また、猫は環境の変化にとても敏感なので、極度の緊張状態になると突然おしっこをしたり、嘔吐してしまう可能性もあります。

周囲の方に迷惑をかけないためにも、脱臭効果のあるトイレシートを敷いておくことをおすすめします。

大五郎は日本到着後の輸入検査時に我慢の限界が訪れたのか、突然おしっこをしてしまいました。(ここまで本当によく頑張った)

猫 機内 緊張

ペットを連れて長距離移動をする際の注意点は、こちらの記事でもまとめています。

猫を連れて新幹線で帰省しました|ペットを新幹線に乗せる際の料金とルール

後編のまとめ|本当にお疲れ様でした

ものすごく長くなりましたが、これにてペットを海外から輸入するための手続きに関するすべてのレポートが終了です。

後編は書類を揃えることが多く、特に政府機関の裏書き証明が入った輸出国証明書を取得するのに時間がかかったなぁという印象ですが、カンボジアにある動物病院の獣医師の方も親身になって協力してくださり、無事に帰国できたおかげで、大五郎と一緒に日本で暮らすことができています。

猫 日本生活

海外からペットを連れて帰るには、準備期間にかなりの時間を要しますし、お金もかかりますし、考えることも多くて気疲れしてしまうこともあるかもしれません。

今回の記事が、これからペットを連れての帰国を考えている方にとっての参考や励みになると嬉しいです。

こちらに記載している情報は2022年末のものですので、輸入検疫に関する最新情報は、動物検疫所のHPにてご確認ください。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

皆さんの大切な家族の一員である愛犬愛猫たちが、無事に一緒に帰国でき、日本で穏やかな生活ができますように。

猫 カンボジア 日本の冬

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